より厳しい盛り土規制をすべく、盛り土条例制定へ

1 静岡県熱海市で起きた大規模な土石流

本年5月、昨年の静岡県熱海市で発生した土石流の起点にあった盛り土の造成をめぐって、静岡県と熱海市の当時の対応を検証してきた「県の第三者委員会」は、最終報告書で県と市の連携が不十分で情報交換ができていなかったとして「行政対応は失敗だった。」と結論づけています。

より厳しい盛り土規制をすべく、盛り土条例制定へ

昨年7月、静岡県熱海市で起きた土石流では災害関連死も含めて27人が亡くなり、1人が行方不明となる大惨事でした。

県と市が行った聞き取り調査に対し、当時の職員たちは「大規模な崩落の危険性を認識していなかった」などと説明しているということです。
一方で熱海市が盛り土を造成した不動産会社に崩落防止の対策を求める「措置命令」の発出を見送ったことなども明らかに。

2 全国に広がる盛り土問題

盛り土を統一的に規制する法律はなく、土地の利用方法や目的ごとに個別の法律で対応せざるを得ない。大規模な宅地造成であれば宅地造成等規制法で工法などが決められ、土砂災害への対策も必要だが、熱海市の盛り土はこうした適用基準には当てはまらず、法の規制を逃れていた。こうした法の網をくぐる盛り土は全国で問題化している。
自治体は盛り土による土地改変など、埋め立て自体を規制する条例を独自に制定して取り締まるが、国土交通省によると、制定しているのは昨年4月時点で21府県にとどまり、規制内容にばらつきがある。  
三重県は昨年、県内への建設残土の大量搬入発覚を受け、新たに県土砂条例を施行した。条例のある関西や関東を通過して三重県に建設残土が運ばれていたといい、県の担当者は「狙い撃ちにされていた」。県は埋め立て面積が3千平方メートル以上で知事の許可制とし、事業者による住民説明会を義務化した。担当者は「許可制としたことで知事の権限が強まった。幅広く事業者の埋め立て行為に対処できる」と話す。  
静岡県の「県土採取等規制条例」は、事業者による土の採取と埋め立て行為を制限しているが、隣の神奈川県が許可制なのに対し、届け出制だ。措置命令などに違反しても、罰則は最大で罰金20万円。神奈川県は最も重いもので懲役2年以下、罰金も100万円だ。県は条例を厳格化する方針だが、自治体が条例の縛りを強めていかざるを得ない状況について、国の担当者は「いたちごっこだ。統一的な法整備などの対策は必要だろう」とみる。  全国知事会は熱海市の土石流災害を受け、国に緊急要望を出し、「(残土についての)法制化による全国統一の基準・規制」「危険がある盛り土の撤去や補強」などを早急に整備するよう求めた。

朝日新聞

総務省行政評価局が2021年12月20日に公表した「建設残土対策に関する実態調査」で明らかになったのは、土砂の埋め立てを規制する条例を持つ41自治体で、法令や条例に反する不適切な建設残土の埋め立てが2015年度以降に120件、うち実際に土砂流出などの被害が生じていた45件もありました。

熱海市の土石流による災害は決して稀ではなく、他の自治体でも起こり得ることなのです。

不適切事案の中には、規制する法令がない市町村や土砂条例の許可要件をみたす限りでの埋め立てなど、確信犯的な業者の巧妙な埋め立てもあるようです。

熱海市に大量の残土が持ち込まれた理由として指摘されているのが、建設残土に対する規制の弱さ。
静岡県内で建設残土の処分を請け負う業者は、県の条例では違反したしても罰則は最大20万円の罰金で、懲役刑などもある近隣の県に比べ、 “規制が緩い”と証言します。

建設残土そのものを規制する国の法律はなく、不適切な行為への対処は、自治体がそれぞれ条例を定めて行っているのが実情です。
そもそも残土の管理について取り決めた、「残土条例」がない自治体もあります。

こうした事態を受けて、茨城県では監視強化パトロールを行っています。
昨年の熱海での土石流災害を受け、盛り土の規制に乗り出す自治体も相次いでいます。
鳥取県は一定規模以上の盛り土の造成を許可制とする条例案を作成し、長野県でも条例を検討しています。

皆さんの都道府県では、「土砂埋立て等の規制に関する条例」、いわゆる“残土条例”がありますか?
他県からの残土搬入を止めるためには、罰則を伴ったより厳しい規制が必要です。

Follow me!